【北海道自転車旅行】5日目 稚内⇒浜頓別 その1(稚内⇒宗谷岬)

5日目【2016年8月18日(木)】 稚内⇒浜頓別 約97.6km


 
(1) 稚内⇒宗谷岬

 台風は夜のうちに過ぎ去り、穏やかな青空が広がっていた。
 今日はいよいよ日本最北端(言うまでもなく、ここで言う「日本最北端」とは、「本土最北端」ないし「日本政府の実効支配が及んでいる領域の最北端」という意味である。面倒なので、以降は単に「日本最北端」と称する)、宗谷岬に向かう。今日もスケジュールには余裕があるので、ゆっくり腹ごしらえをし、8時頃に宿を出発する。

08:14 南稚内駅


08:19 国道40号線


 青空がまぶしい。

08:26 潮見4丁目交差点


 「宗谷岬27km 枝幸117km 網走322km」
 ここから国道238号線の単独区間に入る。国道238号線は稚内から宗谷岬を経由して網走に至る、オホーツク海に沿って走る長大な路線だ。私が網走に到着するのは、明後日の予定である。

08:36 市街地を抜けて


08:47 


 宗谷湾越しに宗谷岬方面を望む。穏やかな海だ。


▲宗谷岬まであと20km

09:04 「宗谷岬16km 枝幸106km 網走330km」


09:12 富磯


 事前の調査では、この集落内に郵便局があるはず。9時を過ぎたので、今日の郵便局めぐりをスタートする。

09:22 稚内富磯簡易郵便局(?)


 一応、郵便局は見つかったのだが……
 しかし、どこからどう見ても営業している気配がない。シャッターは下ろされ、ほかに入口らしき場所もない。どうなっているんだろう?
 釈然としないまま、この郵便局の訪問は諦めて先に向かう。

09:28 富磯漁港付近


 ある程度のまとまった集落。丘の上には風車も立つ。

09:30 「宗谷岬10km 枝幸100km 網走304km」


09:38 宗谷地区


09:45 宗谷郵便局


 国道から分岐した脇道沿いにあるので少々場所が分かりにくいが、宗谷郵便局を訪問する。スタンプには「稚内発祥の地」と記されていた。もともと地域の中心は宗谷地区だったのが、次第に交通機関の発達した稚内地区に中心が移っていったのだという。

09:52 「宗谷岬5km 枝幸96km 網走300km」


 いよいよ宗谷岬が近づいてきた。

10:01 「間宮林蔵 渡樺の地の碑」


 海の向こうに、微かに樺太が霞んで見える。最北端が近い。いよいよと言うべきか、ようやくと言うべきか。自転車で北の果てまで来たのだと思うと、胸にこみ上げてくるものがある。

 一度は、もう諦めかけていた自転車旅行だった。
 数ヶ月前まで、私は自転車どころか、ちょっと近場に出かけることさえままならない状況に追い込まれていた。
 もう生涯長旅はできない。自分のやりたい事ができない。偉大なる仕事様に人生を奪い尽くされる。そんな諦めの境地だった。

 それが社会に出ることだ、社会人の常識だ、と彼らは言った。
 どんな暴言を浴びせられても、理不尽な仕打ちを受けても我慢するのが社会人として当然だ、と彼らは言った。
 おかしいと思った。
 仕事のために生きるんじゃない。生きるために仕事をしているんだ。そんな当たり前のことが、なぜか彼らには通じない。
 彼らはなぜか、仕事を人生の全てであるかのように崇めていた。
 彼らは私を、仕事が人生の全てだと洗脳しようとした。
 彼らは洗脳に抵抗する私を、自分勝手だ、非常識だ、社会をナメている、と罵った。
 まるで、「仕事教」というカルトに支配されているようだった。
 こんな世の中は変えないといけない。そう、何度も思った。
 でも世の中を変えるのに、私は余りにも無力だった。
 仕事を辞めること以外、苦しみから逃れる術はなかった。
 そして仕事を辞めるには、もはや「病気になる」しかなかった。
 地獄のような苦しみの中で、私は毎日、退職日までの日数をカウントダウンし続けた。
 一日一日、日数が減っていく。それだけが救いだった。
 けれど結局私は、最後の出勤日まで持たなかった。

 そして、私は今、ここにいる。
 夢のような、けれども確かに、最北端を目指して走っている。
 バカみたいだと思われるかもしれないけれど、でも間違いなく、この旅は私にとって、自分の人生を自分の手に取り戻すための儀式だった。

10:06 宗谷岬地区


 最北の集落「宗谷岬」地区に入る。もうあと一息だ。

10:11 


 大きな右カーブ。その道の先に、日本最北端の地の碑が見える。

 そして間もなく、宗谷岬到着。遥か樺太を望む間宮林蔵の銅像と合い並ぶママチャリの姿は、滑稽ではあるけれど、確かに「勇姿」であるように私には思われた。



▲最北端の地に立つ「勇姿」

 よく晴れているお陰で、樺太がはっきりと見える。異国であると同時に、過去のある時期までは「日本領」だっただけに、その姿に何ともいえない感慨を覚える。そして著名な観光地だけあって、観光客がひっきりなしに訪れる。自転車やバイクの姿も多い。やはり、ここは自転車乗り、バイク乗りにとって「あこがれの地」なのだ。
 宗谷岬では30分程度休憩の後、出発する。ここからは進路を南に変え、一路オホーツク海沿いを南下する。
 
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