【北海道自転車旅行】11日目 広尾⇒新冠 その1(広尾→えりも岬)

11日目【2016年8月25日(木)】 広尾⇒新冠(節婦) 約152.1km


 
(1) 広尾→えりも岬

 今日は朝から曇り空だった。
 天気予報によれば、今日は夕方まで曇りだとのこと。そして、今日の夜から明日……最終日は、再び雨になる見込みだという。何だか本当に、北海道に来てから雨に降られっぱなしだ。いくら台風の影響があるとはいえ、8月下旬の北海道はこんなにも天気が悪いものかと思う。
 ともあれ、今日は雨の予報が出ていないのは幸運だと言うべきだろう。何しろ今日の目的地は新冠町の、それも節婦という、中心街とは別の集落である。走行距離は150kmにもなる。
 計画を立てた段階では、この日は静内まで走る予定だった。広尾側から見て、静内は新冠よりも手前である。ところが静内の宿が、何軒電話をかけてもどこも満室なのである。やむを得ず隣町の新冠町まで範囲を広げて宿を探したものの、新冠市街の宿もまた満室。節婦地区の宿に電話をかけ、やっと空室を確保することができたのである。今日は日高地方で、何かイベントでもあるのだろうか。

06:49 出発


 一泊した「ひろお館」前にて。今日の走行距離も長いので、できる限り朝早く出発してしまう。

06:51 広尾駅前


06:53 広尾市街を進む


06:58 「えりも46km 浦河79km」


 広尾市街を抜けると、すぐに海沿いの道となる。早速シェルターが現れる。
 国道336号線のうち、ここからえりも町庶野までの区間は「黄金道路」の別名が付けられている。断崖絶壁を切り開く難工事の末に開通した道路で、建設に黄金を敷き詰めるほどの莫大な費用を要したことから、この名が付いたという。
 そしてこの黄金道路は、年間を通じて通行止めになることが多い道としても知られる。実は自転車旅行の計画を立てた段階で一番不安だったのが、黄金道路を予定通り通過できるかどうかだった。今日はこんな天気だが、ちゃんと通行できるだけでもありがたい。

07:04 フンベの滝


 道路のすぐ脇まで滝が迫ってくる。



 海岸線と崖に挟まれたわずかばかりの土地を、道路が通っている。波音が荒い。少々霧も出てきた。


▲打ち寄せる波しぶき

07:21 音調津(おしらべつ)


 海にへばりつくように、わずかばかりの集落が形成されている。

07:28 モエケシ


 ここまで来ると、アイヌ語そのままのカタカナの地名になってしまう。もし人口が多かったら、「萌岸」などと漢字が当てられたのだろうか。

07:32 ルベシベツ


 語源はおそらく「留辺蘂」(北見市)と同じだろう。

 前方には2つのトンネルが控えている。現在共用されているのは右側のトンネル(タニイソトンネル)。左側は旧トンネルだ。天候に関わりなく安定して通行可能になるよう、現在もなお道路の改修工事は続けられている。なるほど、伊達に「黄金道路」は名乗っていない。

07:40 新宝浜トンネル


 ここも旧道の改修により、新トンネルが開通している。なんと開通したのは今年(2016年)2月18日という、真新しいトンネルだ。歩道スペースは少ないが、もとより交通量の少ない道路なので、車道を全速力で駆け抜ける。さすがに怖い。

参考:国道336号「新宝浜トンネル」が開通します

07:49 日勝橋


 この橋を渡ると、えりも町に入る。まさに日高と十勝の境目の橋、だから日勝橋だ。

07:50 えりも町


07:52 目黒トンネル


 えりも町に入るとすぐに、長大な目黒トンネルに入る。ここもまた、旧道の改修によって誕生した新しいトンネルだ。開通は2012年1月28日だという。
 これほどの長大トンネルとなると、どうしてもトンネル内で車に追いつかれるのは避けられない。後方から「ゴォォォォォォォォォォォォォォォォ……」と車がトンネルに進入する轟音が聞こえてくると、正直、生きた心地がしない。

08:02 目黒地区


 音調津以来、久々に集落の中を走る。パラパラと雨が降ってくる。

08:05 えりも黄金トンネル


 目黒地区の集落を抜けるとすぐに、えりも黄金トンネルに突入する。全長4941メートル、北海道内で最長の道路トンネルだ。開通は2011年2月2日と、これまた新しいトンネルである。


▲えりも黄金トンネル坑内

 しかし、ここも目黒トンネル同様、歩道スペースは狭くて、とても自転車で走れるような幅ではない。やむを得ず、車道を全速力で駆け抜ける。車よ来ないでくれ、と祈るものの、現実は非情である。途中で何台もの車に追い抜かれ、その度にヒヤヒヤさせられる。しかも約5kmものトンネルとなると、時速15kmの自転車では、走り抜けるのに20分はかかる。暗闇の中、20分もビクビクしながら走るのは、あまり気分のいいものではない。ようやく出口が見えてきたときにはホッとした。

08:23 咲梅トンネル


 黄金トンネルを抜けてようやく一息つくも、すぐ先に別のトンネルが控えている。

08:27 白浜トンネル


08:29 フンコツトンネル


 左側に旧トンネルが見える。こうして並べて見ると、トンネル掘削技術の進歩を感じさせる。
 そして、このフンコツトンネルで、ようやく黄金道路のトンネル群は全て終了である。トンネル出口付近には黄金道路のトンネルを紹介した看板が立ててあったが、そこには「徒歩・自転車で通行の皆様へ」と題し、【トンネル内での交通事故防止対策として、ご通行の際にはこちらに置いてあります「反射リストバンド」を装着して通行下さるようご協力をお願いします】と記されていた。もっとも、「こちらに置いてあります」と指示された箱はカラッポだった。おそらく持ち去られてしまったのだろう。


▲「黄金道路のトンネルたち」

08:35 


 最後のトンネルを抜けると、一気に視界が開ける。

08:38 庶野(しょや)


 久々に、まとまった集落が現れる。

08:42 道道34号線分岐点


 庶野から先、国道はえりも岬を通らず、山間部をショートカットしてえりも市街に向かう。えりも岬に向かうには、道道34号線を進む必要がある。

08:44 庶野の漁村群


08:52 「えりも岬12km えりも市街26km」


 ここまで来れば、えりも岬まであと一息……かと思いきや、案外まだまだ距離がある。

08:54 


 断崖絶壁の迫る風景が一変して、だだっ広い草原が広がる。
 右手に広がる山稜が、次第に低くなってくる。陸地が尽きかかっていることを感じさせる風景である。

09:03 「えりも岬8km」


09:24 


 岬近くの集落に入る。えりも岬が近い。
 そして、一旦は止んでいた雨が、この辺りまで来るとまた降りだした。立ち込める霧もすごい。雨雲の中を走っているような感じだ。えりも岬は霧が出やすいとは聞いていたが、ここまでとは思わなかった。

09:28 えりも岬郵便局


09:36 岬に向かって


 このカーブを過ぎれば、えりも岬のはずだ。ようやくここまで来た。雨と霧の中、気力を振り絞って走る。
 が、岬の直前で目に入った余りにも場違いな――まるで秋葉原にでも帰ってきてしまったかのような――看板に、私の目は釘付けになってしまった。



 …………「お刺身旅館 さんすいかく」?

 いや、観光地であり海産物の豊富な土地だから、お刺身旅館があるのは別に不思議なことではない。問題は周囲の景観とのミスマッチ感溢れる、どこかで見たような萌え絵のほうだ。制服エプロンにお玉という、「そっちの趣味」(ごめんなさい私のことです)の人のハートを狙い撃ちにしたようなこの絵は――

 よく見ると看板の左下のほうに、薄い水色の地に白抜き文字で「青春☆こんぶ」と書かれていた。

 そうだ、思い出した。

 漫画家の華々つぼみさんの描かれていた『放課後アトリエといろ』という作品があるのだが、単行本の中に「青春☆こんぶ」の宣伝が載っていたのだ。気になって一度だけネットで調べてみて、それっきりこの作品のことはすっかり忘れてしまっていたのだが。そうだ、えりも町の昆布メーカーが販売する、女子中学生キャラクターをパッケージにした商品名のことだった。沿岸バスに気を取られてすっかり忘れてしまっていたが、道北だけでなく道南にも、ご当地萌えキャラは存在していたのだ。

参考:青春☆こんぶ(公式サイト)
   青春☆こんぶとは (セイシュンコンブとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
   えりも町の美少女キャラ「青春☆こんぶ」とは? ? 北海道ファンマガジン

 とはいえ、あまり気にしている時間はない。陽があるうちに、150kmを走りきって新冠まで着かないといけない。おまけに天気予報は、夕方以降は雨になっている。できる限り早く進む必要がある。仕方がないが、先を急ぐことにする。

09:46 えりも岬


 観光センターの駐車場の隅に自転車を置き、少しだけ周辺を散歩してみる。
 
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