【東北自転車旅行】3日目 長岡⇒村上 その1

3日目【2012年5月6日(日)】 長岡⇒村上(瀬波温泉) 約122.4km



(1) 長岡⇒新潟

 嵐が来る、という予報が出ていた。
 昨夜から忙しなく、私は気象情報の確認をしていた。それによれば、今日は午前中には雨が降り出し、夕方まで降り続く。所によっては雷、突風に注意――となっていた。
 朝、目が覚めて窓の外を眺めれば、晴れて日差しすら差し込んでいる。しかし雨雲レーダーを見れば、雨雲はもうすぐそこまで迫ってきている。
 気が重かった。
 とにかくなるべく早めに宿を出て、雨が降り出す前にできる限り距離を稼いでしまおう。頭ではそうしようと決めているのに、身体の方はいつまでもダラダラとホテルの客室に留まろうとしている。その意志の弱さには、我ながらあきれ返るほどだ。
 結局、一晩お世話になったビジネスホテルをチェックアウトしたときには、時刻は既に8時30分に迫ろうとしていた。

          ◆

08:35 長岡駅前(地下駐輪場出入口前) 出発


08:37 新潟に向かって


 空は晴れ渡る青空で、これから嵐が来るなどにわかには信じられない。が、とにかく先を急ぐことにする。力を入れてペダルを踏み込めば、ガチガチと嫌な音、そしてガチンとチェーンが空転する感触。これはいよいよ、本気でまずいことになってきたかな、と思う。できれば早いところ自転車屋に持って行きたいが、しかし先を急ぎたい気持ちがどうしても先行してしまう。

09:06 新潟県道498号


 長岡周辺の国道17号線や8号線は完全にバイパス道路になってしまっているので、可能な限り旧道(に相当する道)を走る。交通量さえ少なければ、旧道の方が断然走りやすい。

09:23 長岡市から見附市へ


 県道498号線を走っているつもりだったが、道を間違えてしまったらしい。仕方がないので、このまま国道8号線に出てしまうことにする。
 この辺りから、だんだん雲行きが怪しくなってきた。

09:30 国道8号線


 道が広い、そして交通量も多い。右手には上越新幹線の高架橋が、付かず離れずの距離で並行する。
 西の空が、次第に真っ黒な雲に覆われはじめた。今日はもう寄り道したりせず、このまま国道8号線で新潟へ行ってしまうことにする。

09:38 見附市から三条市へ

 米どころ新潟らしく、辺りは一面の田園地帯である。
 見附、三条、加茂など、越後平野には京都を連想させる地名も多い。どのような由来があるのか、調べてみるのも面白そうだ。
 ・・・・・・が、とうとう、と言うべきか、この辺りからポツポツと雨が降り始めた。しかしこういう時に限って、対雨天用装備を装着するのに適した屋根のある場所が見当たらない。そうこうしているうちに、少しづつに雨脚が強まってくる。幸いコンビニが見つかったので、そこの軒先で対雨天用装備を装着したが、その間に雨は一気に本降りになってきた。空には稲妻が光り、ゴロゴロと雷が鳴り響く。こうなるともう景色を楽しむ余裕も何もなく、自転車旅行はただひたすら目的地に向かって自転車を走らせるだけの「作業」になってしまう。雨で疲れは溜まる一方で、次第に旅が苦痛になってきた。

10:17 三条大橋


 京都の三条大橋とは似ても似つかない、信濃川に架かる国道8号線の橋である。
 この橋を渡って少し走ると、新幹線の燕三条駅が見えてくる。雨が降っていることだし、一瞥しただけで通り過ぎてしまう。
 燕三条駅を過ぎてしまえば、沿道は再び、一面の田んぼに変わる。雨の中では地図もむやみに取り出せないので、もうどのあたりを走っているのかもよく分からない。国道8号線の表示はずっと続いているので、新潟市街に近づいていると信じて自転車を走らせる。

11:19 新潟まで20km


 実はここは既に新潟市内で、かつては白根市と呼ばれた。新潟市が政令指定都市になるために、こんなところまで新潟市に吸収されてしまったのである。おかげで「新潟市内」にもかかわらず、白根地区の中心街を外れれば再び田んぼばかりの風景になる。「新潟市街」は果てしなく遠い。

12:00 新潟まで10km


 かつて大野町と呼ばれ、新潟交通電車線(既に廃線)の越後大野駅があった辺り。ここまで来るとさすがに田んぼは途切れ、宅地が広がってくる。
 雨の中にもかかわらず、相変わらず、見事に時速15kmペースで走っています。

12:26 新潟交通電車線の遺構


 今は新潟交通といえば純然たるバス会社だが、1999年4月までは東関屋―月潟間の鉄道も有しており、新潟交通電車線などと通称されていた。その電車線の跨道橋が、市街地のど真ん中で未だにほぼ完全な形で残っているというのも驚きだ。電車線の線路跡は自転車歩行車道に転用されるらしく、工事が行われていた。
 余談だが、私が生まれたのはこの近く。

12:29 関屋大橋


 関屋分水路(信濃川河口での氾濫を防ぐための分水路の一つ。燕市の方には「大河津分水路」も開削されている)を渡る。正面には新潟県庁舎も見えてきた。
 雨は少し小降りになってきた。

12;40 千歳大橋より新潟県庁舎を望む


 信濃川のほとりにそびえ立つ新潟県庁舎も、新潟のランドマークのひとつである。かつて県庁舎は白山にあって新潟市役所と隣り合っていたが、老朽化に伴い1984(昭和59)年に現在の庁舎に移転した。
 県庁舎を後にして新潟駅方面に向かっていると、一旦は小降りになった雨が、再び強まり始めた。風も強い。思えば2年前、新潟・長野自転車旅行で新潟に来たときにも雨が降っていた。私が新潟に来るたびに雨が降るとは、いったいどうしたことかと思う。

13:00 万代橋
 新潟まで来たからには、やはりここを訪れたい。「萬代(よろずよ)まで新潟の発展に尽くす」ことを願って命名されたこの橋は、1964(昭和39)年の新潟地震でも崩落を免れ、その後の新潟の復興に大いに貢献した――そんな話を、私は子供の頃に聞かされた。強さと美しさを兼ね備えたこの橋は、新潟のシンボルとして、そして市民生活に欠かせない交通路として、人々の暮らしの中に深く根付いている。


橋の上から古町方面を望む


万代橋を背景に。実は強風で、欄干にもたれかかっている
折からの大雨で、信濃川は大増水している。

13:15 新潟駅前


 雨さえ降っていなければ、三国峠を越えてここまでたどり着いた感慨もひとしおだったはずだ。しかし今の私に、もはやそんな感慨に浸っているような余裕は残されていなかった。手短に写真撮影だけ済ませると、休憩を取る間もなく、今日の目的地・村上へと向けて走り出す。


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