【千葉県一周自転車旅行】1日目:池袋⇒館山

1日目【2012年2月8日】 池袋⇒館山(145.09km)




06:50 池袋(出発)
 しっかり朝食を摂って英気を養った上で、自宅を出発する。冬の朝の日の出は遅く、まだ辺りは薄暗い。目白通り、内堀通りを経由して日本橋まで向かう。秋葉原や臨海副都心に行く際に頻繁に通っている道だが、今日はこれから館山まで向かうのだと思うと、さすがに感慨深いものがある。少し強めの向かい風が冷たい。九段下の辺りではバラパラとみぞれが軽く降ってきた。

07:30 日本橋


 せっかくすぐそばまで来たのだから、ということで、江戸時代の五街道の起点・日本橋にも立ち寄る。千葉に向かう国道14号線(千葉街道)は現在でも日本橋を起点にしている。
 とはいえ、私はこれから千葉街道には入らず、永代通り、葛西橋通りを経由して浦安に出、そこから国道357号線(湾岸道路)を使って千葉に抜けるルートを採ることにした。千葉街道は道幅が狭い上に交通量が多く、自転車での通行には不向きだとの情報を得ていたからである。

08:20 浦安
 旧江戸川に架かる浦安橋を渡ると千葉県に入り、程なくして地下鉄東西線の浦安駅前を通過する。そこからしばらく走ると、やがて沿道が心なしか殺風景になり、そして湾岸道路との交差点に達する。ここで左折。首都高湾岸線に併設されている国道357号線の歩道を(車道の走行は実際問題として不可能)、千葉方面に向かう。

08:30 市川塩浜の辺り(池袋から24.49km)
 覚悟はしていたが、湾岸道路は埋立地の工場地帯を貫くように敷設されているため、風景も至って単調である。

09:00 南船橋の辺り(池袋から32.51km)
「千葉17km 木更津53km」と記された案内表示が掲げられている。千葉まであと1時間ちょっと、木更津までは4時間弱といったところか。頑張ろう!
 単調な風景ばかりが続いていたが、谷津干潟を左手に望みながら走れる区間もある。湾岸道路に入ってからずっとトラックとコンクリートばかりを見せられていたため、久々にホッと一息つける。ただ、ここを夜走りたくはないな、とも思う。

09:40 千葉市花見川区
 湾岸道路はここまで。国道14号線に合流する。
 国道14号線もこの辺りまで来ると、道幅も広く歩道も整備されていて走りやすい。車道は大型車の交通量が多く、歩道を歩く人も少なかったので、ここは歩道を走らせてもらう。

10:05 千葉市中央区(池袋から47.39km)
「市原17km 木更津39km 館山92km」と記された案内表示が目に入る。目的地までの距離がはっきりすると、俄然やる気が出てくる。
 ここで国道357号線に別れを告げ、千葉駅前、そして千葉県庁の脇を走り抜ける。湾岸のバイパス通りをこれ以上走りたくなかったのと、「おゆみ野」(漢字で書くと「生実野」)に行ってみたかったからだ。

10:40 千葉市緑区生実町
 生実町からは国道16号線を通って内房線の線路沿いに出、そこからは千葉県道24号線(千葉鴨川線)を経由して姉ヶ崎に向かった。狭い道路だったが、五井(市原市)を過ぎて養老川を渡った辺りからは交通量も少なくなり、車道を快適に走ることができた。

11:50 姉埼神社(池袋から72.35km)




 姉ヶ崎駅前にも立ち寄ったが、駅前に人影が目立ったので、写真は撮らずに退散。姉崎郵便局は10年前(2002年3月)に訪問したことがあったのでここもパスし、道に迷いながら姉埼神社に向かった。(ちなみに駅名は「あねがさき」、地名は「あねさき」。神社名は姉崎ではなく「姉埼」である)
 久々に自転車で長距離を走ったせいで、姉ヶ崎に着いた時点で私は既に疲労困憊だった。そこで、姉埼神社でしばし休憩を取る。社務所があり、お守りや絵馬、お札の類も売っている、案外大きな神社だった。姉ヶ崎の神社だけに、さぞかし面白いことが書かれた絵馬が掛けられているんじゃないか・・・と期待していたが、実際には全然そんなことはなかった。書かれているのは「○○高校合格」など、ごくごく普通の内容ばかり。ガッカリしたような、ホッとしたような。
 姉ヶ崎からは、内房線の線路に並行する県道287号線を、木更津方面に向かって進む。

12:30 長浦郵便局(池袋から77.55km)
 信号が全くない、周辺に人家もあまり見当たらない線路沿いの県道を進むうち、進行方向左側に郵便局を発見した。休憩も兼ねて、その長浦郵便局に立ち寄る。そして、再び自転車を進める。
 なお、内房線の長浦駅は「今時こんな駅舎が残っていたのか」と思わせるような、妙に時代(1960年代の高度経済成長期)を感じさせる駅舎だった。

13:30 木更津(池袋から90.83km)


 国道127号線(「内房なぎさライン」)の起点であり、「富津14km 館山54km」の案内表示が掲げられている。順調に行けば、ここから館山まで4時間程度でたどり着けるはずだ。
 国道127号線を走り始めるとしばらくは内房線の線路と併走するが、線路はやがて右手へと分かれていき、国道は君津市との市境に向けた上り坂となる。ここから佐貫町(富津市)の辺りまでは内房線と国道127号線の経路は大きく分かれており、内房線がやや遠回りをして海に近い平地を通っているのに対し、国道は距離は短いながらも山越えのルートを取っている。もっとも山越えとは言っても、これまでの自転車旅行で越えてきた峠を思えば、大した坂ではない。13:45には早くも、最初のサミットである君津市との境に達することができた。
 もっとも、君津の市街地を抜けて再び上り坂になると、疲労も相まって、さすがに上り坂がきつく感じられてくる。しかも国道の道幅も狭くなり、車道の左端に路肩が全くないような道路になる。その上交通量は多く、車がひっきりなしに私を追い越していく。

14:15 小山野トンネル(君津・富津市境)


 君津市と富津市との境に位置する小山野トンネルを抜けると、ようやく下り坂となる。もっとも下り坂は、思ったよりもあっけなく尽きてしまう。
 佐貫町駅方面に向かう道路が、右へ分かれていく。館山自動車道の富津中央インターを示す案内表示も見える。この辺りは「花香谷(はながやつ)」という地名だ。
 予想外だったのは、佐貫町と上総湊の間でもう一か所だけ上り坂があったこと。山越え、というほどではないが、疲れきった身体に長い上り坂はさすがにこたえる。

14:55 湊郵便局(池袋から109.64km)
 ようやく坂を上りきり、下り坂を飛ばしていると、進行方向右手に郵便局が見えてくる。「湊郵便局」とあり、内房線の上総湊駅が近いことを教えてくれる。ここで休憩も兼ね、旅行貯金をする。
 郵便局を後にして坂を下っていくと、やがて右手に、ちらりと趣のある駅舎が現れる。上総湊駅だ。東京直通の普通列車が走る最南端の駅で、つまりここが、東京への通勤圏の外縁なのだ。そして国道をなおも館山方面へ走り、内房線の線路をオーバークロスして線路の右手に出ると、ついに眼前に、海が現れた。


15:15 竹岡郵便局(池袋から113.84km)
 一年前までだったら、海を望みながら走っていても「きれいだな~」という感想しか持たなかったはずだ。しかし、東日本大震災の信じがたい映像を目にしてしまった後となっては、のん気に「きれいだ」などと喜んでもいられない。海は美しく、人々に恵みなす存在ではあるけれど、同時に凶暴な存在でもある。立ち寄った竹岡郵便局の前の電柱には「津波注意 ここの地盤は海抜5.3m」と記された看板が括り付けられていた。今までだったら大して気にも留めなかったであろうこの手の看板が、今や妙な生々しさを持って、それを目にする者に訴えかけてくる。


15:17 城山隧道


 上総湊以南は国道から海が望めるようになると同時に、山が海の間近まで迫り、道路も起伏がちになる。そして、しばしばトンネルが現れる。古い時代に掘られたせいだろう、トンネルの多くは口径が小さく、歩道のようなものは設けられていない。この城山トンネルでは右手(海側)に「歩道トンネル」が設けられていたが、これはおそらく、後になって掘られたものだろう。
 なお南房総地域では、この手の「歩道トンネル」は全て海側に設けられていた。

15:35 浜金谷


 東京湾の入り口にあたり、三浦半島の久里浜とを結ぶフェリーが発着している場所である。「保田4km 館山25km」と、案内表示にある。

15:45 明鐘(みょうがね)隧道


 南房総には車道トンネルの脇に「歩道トンネル」が別に設けられていることも多いが、中には歩道のない、歩道トンネルすらないトンネルも見受けられる。この明鐘トンネルもそんな怖いトンネルのひとつで、トンネルの入り口には「トンネル内 歩行者・自転車 注意」とドライバーに注意を促す看板が立っている。
 そして、トンネルの入り口にはもう一つ、「押ボタン」が設けられ、「徒歩・自転車でトンネル内に入るときは下の赤いボタンを押して下さい」と書かれている。この押ボタンを押すと、トンネルの入り口上部にある電光掲示板に「トンネル内 歩行者あり 注意」(確かこんな文面だったと思う)と表示が出るのだ。
 浜金谷と保田の間で富津市を抜け、鋸南町に入る。それは同時に、「上総」から「安房」に入ることも意味している。遠くまで来たな、と思う。
 保田の市街地に入った時点で、時刻は16時を回っていた。結局一日で3局しか訪問できず、今日の旅行貯金は打ち止めとなる。後はもう、ひたすら館山まで走るだけだ。

16:10 安房勝山駅


 国道から駅舎が見えたので、気まぐれで訪れてみた。何となく、味のある駅舎である。この駅の横手に、駐輪場が設置されていることに気付いた。

16:20 勝岩トンネル


 安房勝山と岩井の間にあるトンネルだから「勝岩トンネル」で、このトンネルを抜けると、鋸南町から南房総市(旧富山町)に入る。建設されたばかりらしく、真新しいコンクリートに幅の広い歩道が映える。全国のトンネルが、みんなこんなトンネルだったらいいのに、と思う。そう思うのはもちろん、こんなに安全なトンネルばかりではないということで・・・。

16:40 岩富隧道


 遂にキタ!! 歩道がなく車道に路肩と呼べるスペースもない、「歩道トンネル」も掘られていない、そして注意喚起の押ボタンさえ設置されていないトンネルが!!
 岩井から富浦にかけても軽い上り坂があり、そのサミットの地点、旧富山町と旧富浦町の境に掘られているのが、この岩富トンネルである。が、見ての通り、歩道と呼べるような空間は全くない。車の切れ目を狙ってトンネルに進入し、とにかく全速力で駆け抜けるほかない。車をやり過ごしている間に上り坂で疲れた足を休め、そして車が途切れたところで覚悟を決め、トンネルに突入する。幸い私がトンネルを抜けるまでの間に後ろから車はやって来なかったが、こういうトンネルは本当に心臓によくない。
 富浦の市街地を抜けると、館山バイパスが分岐する交差点に差し掛かる。バイパスを走っても仕方がないので、ここからは国道127号線を離れ、旧道にあたる県道を走ることにする。

16:50 水平線の彼方に陽は落ちて


17:00 館山市に突入


 防災無線から、17時を知らせる定時チャイムが鳴り響く。そして、それとほぼ同時だった。館山市に入ったのは。「ようこそ南房総館山へ 館山市」と書かれた立て看板が目に入る。とうとうここまで来た。那古船形の市街地を抜けると、県道は内房線をアンダークロスして線路の左手に出る。空は一気に暗くなってきたが、あと一息だ。

17:25 館山駅前(池袋から145.09km)


 辺りはすっかり暗くなってしまったが、どうにか予定通り、館山まで到着することができた。

          ◆

 館山駅前には無料の駐輪場があるので、今日はここに自転車を置き、一旦帰宅する。池袋まで片道4時間もかかるのはしんどいけれど、一旦家まで帰れば自宅から食糧を持ち出すことができるし、何より着替えを持ち運ばずに済むので身軽だ。明日は朝の10時頃にここに戻ってきて、旅を再開する予定だ。本当は朝9時には戻ってきたかったが、それだと自宅を5時頃に出発する羽目になる。疲れているのに早起きはしんどい。しっかり寝て、朝食もしっかり摂りたい。

 館山18時13分発の普通列車の千葉行きは、車両を8両もつないでいたせいかガラガラだった。早起きと疲労のせいだろう、列車が館山駅を発車すると程なくして、私は眠りに落ちていった。君津で乗り換えた東京行きの快速列車でも、当然のように爆睡した。そして東京で山手線に乗り換えて池袋で下車し、自宅に着いたときは、時刻は既に22時を回っていた。


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